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zoom RSS 政府と日銀の資産を連結すると、国全体の国債と日銀保有の国債は「相殺」できるが・・・

<<   作成日時 : 2017/04/02 13:21   >>

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日本の政府債務に関するスティグリッツ教授の発言内容が現代ビジネスに取り上げられていましたので、いまさら感はありますが、掲載しておきたいと思います(※1)。

日本銀行は、「資本金は1億円で、そのうち政府が55 % の5500万円を出資し、残り45%にあたる約4500万円を政府以外の者が出資」(ウィキペディア「日本銀行」による)している政府の子会社ですから、バランスシートとしては政府と連結して考えて問題ありません。

簿記の知識がある方にとっては、自然に理解できるところだと思います。

親子のバランスシートを連結した場合、親の負債=子の資産となっている部分は、当然相殺されて連結バランスシートを作成しますので、政府の発行した国債を日銀が保有している場合は、それが相殺されます。

一方で、日銀のバランスシートにおける主要債務は、日銀券と預金です。特に大きいのは預金債務で、これは市中銀行からの預かり金です。
画像
(日銀のバランスシートH28.09.30/H28年度上半期)

政府発行の国債(政府債務)と日銀保有の国債(日銀資産)とが相殺できるのは連結すれば当然ですが、それはそれとしても、日銀の有する負債が連結によって消滅するわけではないので、バランスシートを両者連結したとしても、依然として日銀債務としての「預金」は残存することになります。

仮にこれが全額日銀券であれば、政府債務は全額紙幣に変換されてしまい、結果的には国債が紙幣化されたという意味では、償還不要、つまり政府債務消滅という解釈は可能です。

しかしながら、日銀債務の大半が「預金」(つまり市中銀行からの預かり金)である以上は、それは依然として支払いの必要な債務であり、バランスシートを連結してみたところでその性質が変化するものではないため、結果的にその部分の金額(323兆円)の政府債務が消滅せずに最後まで残存します。

政府のバランスシートは資産・負債の両建て部分が結構ありますので(下記引用記事では600兆円とされる)、その両建て部分を一定程度相殺し、かつまた日銀と連結して日銀券部分96兆円を相殺するならば、政府債務の金額は1000兆円から相当額(理論上は最大700兆円弱)が圧縮可能ではあります。

したがって、日本の財務状況は、財務省が言うほど悪くないのは事実だとしても、だからと言って、「連結してバランスシート上で「相殺」すると、実質的な国債残高はほぼゼロになる」という解釈もまた間違いです。


[以下、引用]
◆(※1)1000兆円の国債って実はウソ!? スティグリッツ教授の重大提言
マスコミはなぜ無視をしたのだろう…
ドクターZ/現代ビジネスより

政府と中央銀行を統合

ノーベル経済学賞受賞者でコロンビア大学教授のスティグリッツ氏が来日し、経済財政諮問会議で、財政政策による構造改革を進めるべきだと提言した。

そのなかでスティグリッツ氏は、政府や日銀が保有する国債を「無効化」することで、政府の債務は「瞬時に減少」し、「不安はいくらか和らぐ」と発言した。

実は彼のこの主張は、日本の財政の真実を明らかにするものだが、具体的になにを意味するのか。

スティグリッツ氏のこの提言には様々な前提がある。まず、「統合政府」とよばれる考え方を押さえておきたい。これは財政や金融問題について、政府と中央銀行を一体のものとして考えることを指す。

たとえば日本の場合、中央銀行である日本銀行は実質的に政府の「子会社」といえる。だから、民間企業でグループ会社の資産も連結決算で考えるのと同じように、政府と日銀の資産は連結してみることができるということだ。

ちなみにこれは「中央銀行の独立性」とは矛盾しない。中央銀行の独立性とは、政府の経済政策目標の範囲内でオペレーションを任されているという意味で、民間でいえばグループ企業が独立して営業する権利を持っているのと同じである。

この統合政府の財政状況を示すバランスシートでは、右側の「負債」はすなわち国債残高を示す。重要なのは左側の「資産」であるが、統合政府の場合この資産に日銀が保有する国債が含まれるのだ。

国の借金1000兆円のウソ

右側の国債残高はおよそ1000兆円、左側の日銀保有国債は約400兆円である。これらを「無効化」すると、国債残高は「瞬時に減少」するとスティグリッツ氏は主張しているのだ。

ちなみに「無効化」とは内閣府が用意した資料の和訳によるもので、筆者は「相殺」と訳すべきだと考えている。というのも、スティグリッツ氏が書いた英文原資料には「Cancelling」とあり、これは会計用語で「相殺」を意味するからだ。国全体の国債と、日銀保有の国債は「相殺」できると考えるとわかりやすい。

たしかに、日銀の保有国債残高に対して、政府は利払いをするが、それは「国庫納付金」として政府に戻ってくるので、利払いのぶん国債が増えることにはならない。

要するに、スティグリッツ氏は「国の借金が1000兆円ある」という主張を鵜呑みにしてはいけないと警告している。

この考え方をさらに進めると、政府の連結資産に含められるのは、日銀だけではない。いわゆる「天下り法人」なども含めると、実に600兆円ほどの資産がある。これらも連結してバランスシート上で「相殺」すると、実質的な国債残高はほぼゼロになる。日本の財務状況は、財務省が言うほど悪くないことがわかる。

スティグリッツ氏は、ほかにも財政再建のために消費税増税を急ぐなとも言っている。彼の主張は、財務省が描く増税へのシナリオにとって非常に都合の悪いものなのだ。

彼の発言は重要な指摘であったが、残念ながら、ほとんどメディアで報道されなかった。経済財政諮問会議の事務局である内閣府が彼の主張をよく理解できず、役所の振り付けで動きがちなメディアが報道できなかったのが実際のところだろう。
『週刊現代』2017年4月8日号より
[以上引用 マクロ経済動向と資産運用形成 研究室]

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