日銀による株式買取りと政府紙幣の発行はどちらも副作用はあるが有効

NYダウも日経平均も、次第に悪材料に対して無反応に近くなってきています。おそらく株価は経済情勢の悪化を相当程度織り込んだものと思います。強気の人がいなくなってしまいましたが、当室ではこの2009年第一四半期までが株価の底であると考えています。株価が下がって政策を催促すれば、米国からまた何らかの新たな政策が打ち出されるものと思います。

さて、テレビで麻生総理は、政府紙幣の発行のことを「太政官札」と冗談で言っていました。政府紙幣というと、何やら、うさんくさい響きがありますが、経済効果としては、日銀による赤字国債の直接引き受けと同じことです。赤字国債の日銀引受ですと、財政法第五条の縛りがあって自由度が乏しいため、政府紙幣の発行を思いついたのでしょう(※1)。あるいは米国の指示かも知れません。

こうした通貨の発行益そのものを財源とする有効需要の創出策は、極めて直接的な有無を言わさぬ景気浮揚効果を持ちますので、「流動性のワナ」の状態にある日本経済にとっては恐慌脱出の方策として有効性は高いと言えます。有効需要が絶対的に不足している状況下では、こうした形で紙幣を乱発してもインフレにはなりません。しかしながら、政府紙幣の発行は、白川日銀総裁などが指摘していますように、形を変えた無利子の永久国債を発行するのと同じことですので、景気が回復したあかつきには税金でもって回収するか、あるいは日銀が買い取る形が望ましいと思います。通貨が一本化されていないと十分な供給量管理ができませんし、将来的に財源確保のために軍票のような乱発の可能性があります。

また、日銀による銀行の保有株買取については、政府の景気対策への意思を示す一環として、有効性はあるとは思います。ただし、こうした「不良債権」の買取の場合には、常に問題となるのが、買い取り価格です。時価での買取ですと、銀行側に売却損がでますので、銀行側が躊躇しますし、簿価に近い価格で買い取りますと、おそらくは日銀に含み損が生じてしまいます。今回は、時価での買い取りとされていますので、売る側の銀行が躊躇すると思います。日銀としては、金融システムの安定化が主眼ですので、株式市場への効果としてはいまひとつ、という感じですが、今後の株価下落を予想している一部の金融機関にとっては有効性があるでしょう(※1)。株式を買い取るのであれば、年金資金でPKOするのもいいですが、市場から直接、政策投資銀行あたりがETFを買う方が得策だと思います。

無利子国債という面白い案も出てきています。
「杉本和行財務次官は5日の定例会見で、与党の一部で浮上している相続税免除特典のついた無利子国債発行案について、財政にとってプラスの要素はないとしたほか、国債発行・消化の観点からも必要な状況にないと述べ、慎重に検討すべきだと否定的な見方を示した。」(※2)・・・ということで、財務省にとってはメリットなし、ということでしょうか。しかしながら、相続税免除特典というのは大変いい案だと思います。

当ブログはここのところ固い題材であるため、読者が激減するのかと思いましたがそうでもないようなので、もともとハイレベルな方々にアクセスしていただいているのだと思います。中には、諸方面に影響力の強い方もおられるかも知れませんので、無利子国債による相続税免除の話題が出たついでに、日本の経済活性化税制として、当室が想定しているものを述べておきたいと思います。次の三つです。

①相続税ゼロ
②法人税10%
③少子化防止所得減税

①の相続税ゼロは、当室管理人がどこかの本で読んだアイデアですが、相続税をゼロにしますと、金持ちの外国人が一族郎党始め、召し使いとその家族までを引き連れて日本に移住してくるので、その経済効果で経済が活性化するだろうという案です。外国人のお金持ちは半端な金持ちではありませんから、消費は間違いなく拡大するでしょう。相続税減税分は消費税の増収で多分ペイします。

②の法人税10%は、世界最低水準の法人税ということで、日本企業の国際競争力強化とともに雇用余力を高めます。さらに、外国企業の本社もおそらくこぞって日本に移転してきますので、その投資効果は絶大であると思います。もちろん経済も活性化します。減税分は、これも消費税の増収でおひそらくペイします。

③は、子供1人につき所得税2割引とする案です。2人ならば4割引、5人ならば所得税免除、というわけです。多分これで少子化は停止するものと思います。減税分は、人口増加による経済成長により税収全体が増加してペイするものと思います。

以上蛇足でしたが、いずれにしても、前回触れましたように、景気対策としての財政政策は金額不足の感が否めなくなっていますので、もう一段の対策が何か打ち出されるものと思います。少し期待して待ちたいと思います。何も出なければ失速するか、あるいは米国待ちですかね・・・。

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◆(※1)「景気対策として一部で取りざたされている政府紙幣の発行については「仕組みいかんによっては、実質的には将来の返済が必要な資金調達である国債の市中発行と同じか、あるいは通貨の信任を損なうほど大きな弊害を伴う無利息の永久国債の日銀による引き受けと同じか、そのいずれかになる」と指摘。
後者については、具体的な弊害として、1)無利息かつ転売不能な資産を保有することで、円滑な金融調節が阻害されたり、日銀の財務の健全性が損なわれることへの懸念を通じて通貨に対する信任が害されるおそれがある、2)政府が日銀による国債の直接引き受けと同じ仕組みで恒久的な資金調達を行えば、国の債務返済にかかる能力や意識に対する市場の懸念を惹起し、長期金利の上昇をまねくおそれがある──ことを挙げ、政府紙幣の発行は「非常に慎重な考慮を要する」と懸念を表明した。」
 (09/02/03 ロイターより抜粋)http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-36264320090203

◆「日銀は3日開催の政策委員会・通常会合で、銀行保有株の買い取りを約4年半ぶりに再開することを決めた。買い取り規模は1兆円。株価下落により、金融機関の株式保有リスクが高まっていることから、買い取りを再開することで、金融システムの安定確保に全力を挙げる。月内の実施を目指す。」(同)

◆「財務省の杉本和行次官は2日午後の定例会見で、自民党などの一部から政府紙幣を発行して景気対策に活用する案が出ていることについて、日銀による国債引き受けを禁止している財政法などの観点から慎重な検討が必要と語った。」(「UPDATE1: 政府紙幣の発行、財政規律などの観点から慎重な検討が必要=杉本財務次官」  (09/02/02 ロイターより抜粋)http://jp.reuters.com/article/domesticFunds/idJPnTK022614520090202

◆(※2)「無利子国債発行について杉本次官は「諸外国に例がなく、効果について一概に言えない」としたうえで、「利払いは減るが、相続税の収入が減るため、財政上プラスになる要素はない」と述べた。さらに、国債の発行・消化の円滑化の観点からも、「現状は、国債金利1.3%程度で済み、特に国債発行・消化に困難なく、円滑に消化している。そのような国債を発行することも必要な状況ではない」と述べ、「無利子国債の発行は慎重に検討すべき」と述べた。」
 (以上、「無利子国債発行構想、財政にとってプラスの要素はない=財務次官」09/02/05 ロイターより抜粋)http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-36317820090205