まじめに対応すると損する藤井財務相の発言

藤井財務相の発言で、外為市場が混乱しているようです。思うに、藤井財務相は外為にはそれほど詳しいわけでも、さしたる政策的な思慮があるわけでもなく、インタビューにその場限りで適当に答えていただけという印象があります。そのことは、「円高が進んでいると記者団が問いかけたのに対し、財務相が「本当かい」と答えたと一部通信社が伝えると」というロイターの漫才のような報道がよく表しています。

その点は、欧米の政策担当者のように、市場関係者の行動パターンや心理動向を精密に計算して、その裏の裏を掻くような政策的頭脳プレーを演じるのとは全く印象が異なっています。それだけに、「市場では「いい加減にしてほしい。一国の通貨当局トップとしてメッセージを送っている自覚があるのか」(在外都銀の為替担当)と憤慨する声すら上がった」とも報道されていますが、これは欧米流の政策的意図が濃密に織り込まれた政府高官発言に慣れた市場関係者だからこそ、の感覚でしょう。

藤井財務相ご自身は、外為の話はしていても、おそらくそうした市場関係者が期待しているような日本政府としての政策的メッセージのつもりはありません。円売り介入を回避しようとしているのは、おそらくは外為会計で国債を新規に発行するのを避けたいと思っているだけのことで、為替相場の動向や日本経済への影響などは、深くは考えていないと思います。

つまるところ、日本の株価見通しは、藤井財務相の存在は捨象してしまって、NYダウとシカゴの日経平均先物の方だけ見ていれば判断が付くのではないでしょうか。円高は、ブレはあっても米ドル金利が上昇して来れば自然に収まりますので、米国の経済動向、金利動向次第です。当面は現状のレベルを維持し、10月以降、徐々に円安方向に推移するものと思います。

藤井財務相は、法学部出身ですので、旧大蔵省出身とは言っても経済や外為には造詣が深いわけではありません。そこで経済学部出身の同級生である行天豊雄元財務官を財務省特別顧問としているわけです。この人も円高論者なので、短期的には株価にはマイナスな人であることはすでに触れました。

それにしても、財務省(旧大蔵省)出身者が財務大臣になった場合は、基本的に株価にはマイナスと解釈して、これまで例外はありませんでした。不思議なくらい全員が増税緊縮型財政が持論です。

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◆藤井「財務相は午後の講演でも、ガイトナー米財務長官との会談での発言が「いつの間にか円高是認と言う話になったが、そういうことは一言も言っていない」と日本が円高を容認したとの見方を否定したものの、同時に最近の円高は「一時的な現象」と言及。
それと前後して、円高が進んでいると記者団が問いかけたのに対し、財務相が「本当かい」と答えたと一部通信社が伝えると、市場では「いい加減にしてほしい。一国の通貨当局トップとしてメッセージを送っている自覚があるのか」(在外都銀の為替担当)と憤慨する声すら上がった。(・・・中略・・・)
民主党が内需型経済へのシフトを強調していることで、為替市場では従来より円にやや上昇圧力がかかりやすくなるとの見方が大勢。その一方で財務相が介入に否定的な発言を繰り返したことで、ドル安地合いの中で自国通貨高にけん制発言を繰り返しているスイスやカナダ、豪、NZなどと比べて「日本は介入に距離を置いている」との見方が海外勢の間でも広がり、円が短期筋の買い仕掛けのターゲットになってきたわけだ。」
(「財務相発言に円相場が右往左往、市場関係者から困惑の声」09/09/29ロイター)
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-11706920090929?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0