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zoom RSS やはり米国長期金利が上昇中

<<   作成日時 : 2009/12/11 21:59   >>

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12月10日のブルームバーグの報道によれば、米国債2年債と30年債の利回り格差は少なくとも1980年以降で最大に拡大しているということです(※1)。

具体的には、「BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時間午後4時11分現在、30年債利回りは前日比8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇の4.49%。2年債利回りは1bp上げて0.76%」で、「同利回り格差は少なくとも過去29年で最高の373ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)」をつけています。利回り格差は、2008年末には191bpだったということですので、1.82%ポイント拡大してスティープ化していることとなります。

この点についての代表的意見として、キャボット・マネー・マネジメントの債券ポートフォリオマネジャー、ウィリアム・ラーキン氏が、「入札は月並みな結果だった。入札をこなすためには利回りがやや高い水準をつける必要があった。これは2010年の見通しを示唆している。利回りは漸次的に上昇するだろう」と語ったとされています。

米国長期金利上昇の背景には、@米連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を過去最低の事実上のゼロで維持しているため、短期債の金利が低く抑えられている一方で、A米財務省は米国債の平均償還期限の延長を図っている、ということがあります。

同記事の中では、「米財務省当局者は11月4日、米国債の平均償還期限を6−7年とする長期目標を発表、Tビル(財務省短期証券)や2−3年債の発行を縮小する意向を明らかにした」とされています。債務の繰り延べを図っているのと同じことですので、長期金利は自然に上昇してしまいます。

もっとも、長期金利上昇の根本的な原因背景としては、B「戦後最悪のリセッション(景気後退)に対処するため前例のない規模で借り入れが膨らむなか、流通市場で取引される米国債の総額は11月に7兆1700億ドルと記録的水準に達している」ことが挙げられます。米国債の発行量が多いので、基本的に金利が上がり易いのは当然のことです。

それに加えて、以前から当室で指摘していますように、CFRBによる長期国債買切りプログラムが10月末を以って終了している影響も大きいと思います。

大量発行されている上にFRB国債買切りプログラムが終了することで、10月末以降、徐々に長期金利が上昇を開始するであろうことは、すでに当ブログで予見しておりましたが、米財務省が米国債の平均償還期限の延長を図っているというところまでは視野に入っておりませんでしたので、実際には当室で考えていたよりも幾分早いうちに米国長期金利は上昇しそうな感じです。

米国長期金利の上昇は、次の結果をもたらすものと思われますので、投資判断上は十分留意しておく必要があるでしょう。

(1)米国景気への影響・・・別途、財政的に対策を打つようですので、現状レベルでの長期金利上昇の景気への影響は軽微と見ます(※2)。
(2)米国株への影響・・・当面マイルドな金利上昇が予想されますので、株価への影響は中立的と見ます。
(3)米ドルへの影響・・・米国債での運用に資金が流入するため、ドル高円安トレンドへの移行を予想します。
(4)金価格への影響・・・金は利息を生みませんので、金価格は下落に転じるものと思います。
(5)新興国の株価への影響・・・ドルへの資金還流により、これまでよりは株価上昇率は鈍化すると思います。

■すでに述べましたように、このたびの総額7870億ドルの米国景気刺激策の効果は、2010年に入ってもしばらくは継続しますので、米国政府は、景気の回復状況や金利情勢を確認しながら、不良資産救済プログラム(TARP)の資金を500−2000億ドルの範囲内で調節しながら使用するものと思います。つまりるところ、米国の株価は当面堅調な推移となる可能性大です。

■また、長期金利が上昇し始めた以上、米国に資金が移動して来ますので、ドル暴落も基本的にありません。米国政府の保有する大量の金がドルの背後に見えていますので、いざとなれば金本位制復活だということを、多くの投資家は想定しているものと思います。

**********

◆(※1)「12月10日(ブルームバーグ):米国債相場は下落。午後に実施された30年債入札で需要が予想を下回ったため、2年債と30年債の利回り格差は少なくとも1980年以降で最大に拡大した。
同利回り格差は少なくとも過去29年で最高の373ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)をつけた。30年債入札の最高落札利回りは4.52%と、ブルームバーグニュースがプライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)を対象にまとめた予想(4.483%)を上回った。」
(09/12/10 ブルームバーグ)http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=a4quxsOJzp6M
■なお、本文の「」内はすべてブルームバーグからの引用です。

◆(※2)「[ワシントン 8日 ロイター] オバマ米大統領は8日、中小企業向け減税や新規インフラ投資などを含む一連の雇用拡大策を発表した。ただ、対策の規模やコストの詳細は明らかにしなかった。
オバマ大統領は、財政赤字の削減には雇用拡大が最も効果があると強調。1500万人を超える米国の失業者に対する失業保険や健康保険の適用期間の延長を提唱した。
政府高官によると、政府は約500億ドルを新たにインフラ投資に投入する。道路や橋、その他の交通インフラの整備に1年間にわたり投資する。
オバマ大統領はまた、不良資産救済プログラム(TARP)の資金を財政赤字の削減および雇用創出に向けた計画のために利用するとした。」
(09/12/08ロイター)http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-12836720091208

◆(※2)「[ワシントン 8日 ロイター] 米下院の複数の民主党議員によると、米議会で具体化しつつある雇用対策法案の規模は750─2000億ドルとなる可能性があり、大半は不良資産救済プログラム(TARP)が財源になるとみられている。」
(09/12/08 ロイター)http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT853901020091208

◆12月23日追加
画像
(2009年12月21日ダイヤモンドザイ・オンライン 広瀬隆雄氏「米中の「蛇口」が閉め始められた中で、BRICsの利上げに注意!思わぬ急落も!? 」より)http://zai.diamond.jp/servlets/Query?SRC=zai/serial/column&cate=hirose&art=104&page=2
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