経済情勢は円安方向

大震災直後にドル円相場は史上最高値を更新した後、協調介入によって円高が一応阻止され(※1)、さらにここに来て円安への揺れ戻しとなっています。次の要因を考えますと、円安方向にもう少し振れそうな感じがします。

①日銀資産が増加していること(※3)。
②欧米先進国は量的緩和は停止か終息の動きであるのに対して、日銀は緩和継続。
③換言すれば、欧州は金利引き上げ、米国は緩和終息、日銀は緩和継続で、通貨供給量と金利差と両面で円安方向。
④東北関東大震災の被害および電力供給制限20-25%による製造業等の生産活動低下、そして節電・自粛ムードでの消費低迷によるGDPへのマイナス影響。
⑤原発事故の継続。

その中で、一番大きいのは、日欧米それぞれのお家事情による金融面の政策的動向に差異が生じていることです。

欧州は、景況感は各国まちまちで、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル等厳しい国もある中、インフレ抑制最重視の政策体質から、4月7日0.25%の利上げに踏み切りました(※2)。米国は財政赤字の抑制・削減とインフレ抑制に関心が向いていますので、雇用情勢と住宅価格に回復メドが立てば直ちに金融緩和を打ち切って財政再建方向に政策傾斜するものと考えられ、少なくとも、この6月でQE2は停止する可能性が高いと思われます。これに対して日本は一定枠内での国債、ETF等の買取りと必要に応じての円売り介入という金融緩和政策である点、現状維持で変更は当面ありません。

今後、一度円高に振れる場面はあるかも知れませんが、当面の基調は円安であると思います。

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 (ドル円チャート3年間:SBI証券より引用、2011.04.10)

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[以下、引用]
◆(※1)2月25日-3月29日の為替介入額は6925億円、ほぼ予想通り (2011年 04月 1日 ロイターより)
「[東京 31日 ロイター] 財務省は31日、2011年2月25日から3月29日までの外国為替平衡操作額(介入額)が6925億円だったと発表した。介入実施は、2010年9月15日以来、半年ぶり。
23日に発表された日銀の「当座預金増減と金融調節(確報)」からは、18日の円売り介入の規模は6600億円程度だったと推計されており、市場では「ほぼ予想通りの規模だった」(三菱東京UFJ銀行アナリスト、井野鉄兵氏)と受け止められている。

井野氏は、今回の介入が少ない金額で効率的に行われたと評価しており、1)介入開始と同時に野田財務相が介入を公表したことでアナウンスメント効果が働いた、2)主要7カ国(G7)を巻き込んだ協調介入だったことでインパクトが大きかった--の2点を指摘。「9月に実施した2兆円を超える規模の介入に比べて規模が小さかったことで、市場には財務省が追加介入に向けた余力を残しているとの警戒感が働く」(井野氏)ことが、その後もドル/円をサポートしているとみている。

3月11日の東日本大震災後に円のリパトリエーション(本国への資金還流)観測が浮上し円高圧力がかかるなか、3月17日早朝にドル/円は突然76.25円まで急落し、史上最安値を更新した。これを受けて、G7の財務相・中央銀行総裁は電話会議でG7による円売りの協調介入で合意。野田財務相は18日午前9時からドル買い/円売り介入を実施したことを明らかにした。その後、海外時間にかけてG7各国の中銀が相次いで介入を実施している。

17日の段階から18日のG7財務相・中央銀行総裁会議で協調介入が決まるとの期待感が広がっていたことで、ドル/円は17日のうちに一時79円半ばまで3円以上戻し、18日の介入を受けてさらに82.00円まで上昇した。その後は、介入警戒感がドル/円の下値を支え、さらに利上げレースでの欧米に対する出遅れ感も響いて31日までに一時83.22円まで上昇。介入前の直近高値(3月11日の震災時につけた83.30円)に迫る局面もあった。

野田財務相が明らかにした3月の介入は18日だけで、市場でも介入は1回だけだったとみる声が多い。」


◆(※2)UPDATE2: ECBが25bp利上げ、物価上昇警戒し追加引き締めの用意も (2011年 04月 8日 ロイターより)
「[フランクフルト 7日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)は7日、主要政策金利であるリファイナンス金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げて1.25%とし、2008年の金融危機後初めての利上げに踏み切った。物価上昇の抑制に向け、必要があれば追加引き締めを行う構えも示唆した。

トリシェ総裁は理事会後の記者会見で、ECBの金融政策は「依然として緩和的だ」と述べるとともに、物価上昇リスクを「非常に注意深く監視(monitor very closely)していく」と表明。これらの文言は通常、早期の追加利上げを示唆すると受け止められる。

しかし総裁は、ECBが今回の利上げを一連の措置の始まりとはとらえていないと強調し、積極的な引き締めに乗り出す考えでないことを市場に示した。
ベレンベルク銀行のエコノミスト、ホルガー・シュミーデイング氏は「きょうのECBの声明は、第3・四半期に25bpの追加利上げがあるとの見方と一致している。9月よりも7月のほうがやや可能性が高い」と述べた。

トリシェ総裁がきょうの利上げについて、「(ECBは)これが一連の利上げの始まりとは決定していない」と述べたことを受け、ユーロ/ドルEUR=は一時下落したが、その後、市場が会見内容を消化するに伴い1.43ドルを超える水準に上昇した。
一連の利上げの始まりと決定したわけでないと総裁が強調したことは、金利引き上げのペースが速過ぎれば、多額の債務を抱えるユーロ圏諸国に打撃を及ぼすとの懸念を反映している可能性がある。

総裁は、ECBがポルトガル当局に対し、国際金融支援を要請するよう促したと述べた
総裁は金利について、依然として低水準だとし、インフレ抑制のために必要な措置を講じると強調。「金融政策スタンスは依然として緩和的だ。そのため引き続き、経済活動や雇用創出に多大な支援を提供する」とし、「物価安定への上振れリスクに関するすべての動向を、引き続き非常に注意深く監視していく」考えを示した。」


◆ユーロが対ドルで1年3カ月ぶり高値、追加利上げ観測で (2011年 04月 9日 ロイターより)
「[ニューヨーク 8日 ロイター] 8日のニューヨーク外国為替市場では、ユーロが対ドルで1年3カ月ぶり高値をつけた。米連邦政府機関が閉鎖に追い込まれるとの見方がドルを圧迫した一方、ユーロは欧州中央銀行(ECB)による追加利上げ観測を手がかりに買われた。
米欧金利差の拡大を見込み、ユーロは来週、上値を伸ばすとみられている。

来週は米小売売上高やインフレ統計に注目が集まり、インフレ圧力の拡大が示されれば利上げ観測が強まり、ドルが買われる可能性がある。
ドル/円は0.1%安の84.76円となったが、それでも今週つけた6カ月ぶり高値近辺にとどまった。

市場参加者は、日本の震災や原発事故を受けて日銀が当面緩和政策を維持するとの観測から、円安がさらに進む可能性があるとの見方を示した。 

豪ドルは1.0552米ドルをつけ、変動相場制移行後の高値を更新した。」


◆(※3)日銀総資産17%増、昨年度末、緩和長期化、米欧と差。(2011/04/10 日本経済新聞より)
「日銀の2010年度末の総資産残高が142兆9千億円と、年度末としては量的緩和政策を解除した直後の06年3月末以来の高水準となった。前年比17・3%と9年ぶりの高い伸び。東日本大震災発生後、金融市場の安定確保に万全を期すために大量の資金供給を続けたほか、被災地の金融機関などの現金需要が増えて日銀券(お札)の発行が増えた。米欧中央銀行が金融緩和の修正に動くなか、日銀は総資産拡大が続く公算が大きい。
負債面からみると、金融機関の手元資金の総量を示す日銀当座預金は40兆8千億円と、前年比で73・8%増加した。被災者の預金払い戻しに備え、被災地にある金融機関が現金を多めに確保したことから、日銀券の発行残高は4・6%増えた。
資産面では、大量の資金供給で資金供給オペ(公開市場操作)など貸付金が56・9%増の56兆1千億円。国債や株価指数連動型上場投資信託(ETF)などの買い入れ基金の残高は2兆9千億円だった。
08年秋のリーマン・ショック後は、日米欧の中央銀行がそろって異例の金融緩和策を実施。米連邦準備理事会(FRB)の総資産も3月末時点で約2兆6000億ドル(約218兆円)と、1年間で13・7%増えた。昨年11月に量的緩和第2弾(QE2)を開始し、保有する米国債の残高が膨らんだためだ。
ここにきて、米欧では物価上昇懸念を背景に金融緩和策を修正する動きが出ており、すでに欧州中央銀行(ECB)は利上げに踏み切った。ただ日本は大震災の影響などで金融緩和が長引くのが確実だ。」
[以上 引用]