円売り為替介入、過去最大4・5兆円前後か

8月4日に日本政府が実施した為替介入について、備忘のため報道記事を引用、掲載しておきます。

当室としては、日本政府はもっと豪快に為替介入するべきという立場です。「為替介入に効果なし」という見解の人が多いようです(※1)が、それは規模的に少額であることと、単発的であるが故に効果が感じられないだけのことで、中国並みに継続介入すれば、日本の経済実態に比較して行き過ぎた円高を阻止して景気拡大を導出することも可能と見ています。先進国でも、或る程度の為替レート管理は必要です。いずれまた、もう少し詳しく説明する場面もあるでしょう。

[以下、引用]
◆円売り為替介入、過去最大4・5兆円前後か

政府・日本銀行が4日に実施した円売りの為替介入の規模は4・5兆円前後とみられることが5日分かった。

1日の円売り介入額としては、昨年9月15日(2兆1249億円)を上回る過去最大となる。

日銀が5日発表した日銀当座預金残高の予想によると、8日の残高予想のうち、介入資金の規模を反映する「財政等要因」は、4兆4600億円の余剰となる見込みだ。

通常の資金の動きの影響を除くことで介入規模が推計できる。正確な介入額は、財務省が8月末に発表する。

(2011年8月6日12時31分 読売新聞)

◆4日の円売り介入規模、過去最大の4.5兆円=市場推計
「[東京 5日 ロイター] 政府・日銀が4日に実施した為替介入について、金額が4兆5000億円規模だった可能性のあることが、日銀が営業日ごとに公表している「当座預金増減と金融調節」からの推計で分かった。1日の円売り介入額としては、2010年9月15日の2兆1249億円を抜き、過去最大となる。
 介入後のドル/円相場は3円以上上昇し、昨年9月に介入した際の上昇幅3円弱を上回った。「やはりそんなに大きな規模だったかという印象だ」と、外為どっとコム総合研究所の植野大作社長は言う。「(当局は)短時間でかなりの効果を出そうと設計図を書いたのだろう」。

 しかし翌5日のドル/円相場は78円半ばまで下落し、市場には介入効果の持続性を疑問視する声もある。「介入は一時的にせよ効果があった。ただ、中長期的な為替需給に影響するような(ドルの)買い方をしていないので、どこまで腰が入っているのか不確かだ」と岡三証券外国債券グループのグループ長、相馬勉氏は言う。「米国債市場はQE3(量的緩和第3弾)催促相場になっている。(ドル安/円高の進行を抑制するには)日銀もマネーを増やす政策にコミットする必要があるのではないか」。

 為替介入の取引実効日は2営業日後のため、4日のドル買い/円売り介入は8日の「財政等要因」の項目に払い超として反映される。日銀によると、8日の財政等要因は4兆4600億円の払い超過(余剰)となる見通し。東京短資など日本の短資会社3社が当初予想していた8日の財政等要因は、0―2000億円の不足となっており、計算上は今回の為替介入額が4兆4600億円─4兆6600億円程度だった公算が大きい。財政等要因には一般財政や国債、政府短期証券の発行・償還に生じた資金の受け払いも含まれており、実際の介入額は今回の推計からブレる可能性がある。

 財政等要因の見通しは、8日午後に発表される速報値、9日午前に発表される確報値で改定される。」
(2011年 08月 5日 ロイターより)

◆市場単独介入 円高阻止へ欧米との連携図れ(8月5日付・読売社説)
政府・日銀が、1ドル=76円台という行き過ぎた円高を阻止するため、円売り・ドル買いの市場介入に踏み切った。
さらに日銀は、国債買い入れなどのための基金を10兆円上積みする、追加的な量的金融緩和策も決めた。
為替介入後、円相場は一時、80円台に急落した。ひとまず円急騰にブレーキがかかり、一定の効果があったと言えよう。

東日本大震災後の3月中旬、戦後最高値の1ドル=76円25銭をつけたことから、日米欧の通貨当局は協調介入を実施し、円高にいったん歯止めをかけた。

しかし、最近になって、円が再び急騰し、最高値を更新しそうな展開となっていた。今回は日本の単独介入にとどまったが、政府・日銀が介入効果を高める金融緩和を組み合わせ、機動的に対応したことを評価したい。

野田財務相は、「(円急騰が)日本経済や金融の安定に悪影響を及ぼしかねない。投機的な動きや無秩序な動きには、断固たる措置をとる」と述べた。
日本経済は、大震災による打撃を何とか乗り切り、成長軌道に戻りつつある大切な局面にある。
ここで過度な円高に歯止めをかけておかないと、自動車や電機など輸出産業の業績悪化を招き、景気も腰折れする懸念が強まる。政府・日銀が決断した背景には、そうした危機感がある。

今後も為替市場の動向を注視し、必要に応じて断続的に介入するなど、円高を阻止する姿勢を明確にしなければならない。

ただし、今回の円高は、米国経済の減速や、財政危機に伴う米国債の格下げ懸念を背景とした「ドル安」の側面が強い。
日本の単独介入だけでは、円高是正の流れを定着させるには限界もあるだろう。
政府・日銀は、欧米の通貨当局と緊密に連携し、協調介入の可能性を探ってほしい。

日本経済への逆風は円高にとどまらない。福島第一原子力発電所の事故に起因する電力不足も重なり、海外に工場を移す「産業空洞化」が加速する恐れがある。
政府は、空洞化防止に向けた総合対策を打ち出すべきだ。
原発の再稼働による電力不足の解消や、国際的にみて高い法人税率の引き下げは急務である。

主要国・地域との自由貿易促進などの通商政策では、韓国などライバルに出遅れている。環太平洋経済連携協定(TPP)への参加決断も急がねばならない。

(2011年8月5日01時10分 読売新聞)

◆(※1)為替介入で円高の流れは止められず=ムーディーズ(2011年 08月 8日 ロイターより)
[東京 8日 ロイター] ムーディーズ・インベスターズ・サービスは8日付リポートで、日本の為替市場介入の効果について、円高の流れを食い止められないため経済回復にはプラスに働かず、信用格付け上はマイナス要因になるとの見方を示した。
 ソブリン・リスク・グループ・シニア・ヴァイスプレジデント、トーマス・バーン氏(日本国債担当)は、日本は強じんな対外ポジションを持っているが、欧米での不安心理により、為替介入で円安にもっていくには不十分としている。その上で「輸出依存型の経済構造をしている日本にとって、円高は競争力をそぐ要因になりかねない」と指摘している。

[以上 引用]
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(ドル円レート 2011.08.06 SBI証券より引用)