市場で問答無用のリスクオフ、恐怖指数は「パニック」前夜の水準/ロイターより

ロイターの現状分析記事がまとまりが良いので転載しておきたいと思います(※1)。要点としては、次の通りです。

①欧米株安と円高進行を背景に東京市場では問答無用のリスクオフが進んでいる。
②ギリシャとスペインの債務・金融問題に加え、マクロ指標の悪化で米経済減速懸念が強まったことで、海外勢が株売り・債券買いを加速している。
③市場の不安感が急速に高まり、欧米株の下落でリスク許容度が低下した海外勢が、日本株のウエートを引き下げている格好だ。
④ギリシャはデフォルトやユーロ離脱などの前に、資金繰りが厳しくなった同国銀行による預金の引き出し凍結などが警戒されている。
⑤投資家のリスクオフ行動は加速しており、マネーは「安全資産」の国債に一段と流れ込んでいる。
⑥5月11日までに発表された東証1部の上場企業894社(除く金融)の2013年3月期の純利益見通しは前期比63.4%増だ。日経平均の予想PERは11倍台、PBRは1倍を割り込んでいる。
⑦しかし、恐怖感が支配するマーケットでは、足元の景気やバリュエーション評価による割安感の台頭などは「二の次」になる。

また、ギリシャのみならず、それ以外の国でも銀行預金の引き出しは静かに進行しており、ドイツやスイス、英国の銀行に資金が流れ込んでいる様子が伺えます(※2)。

ギリシャで6月17日に実施される再選挙の大勢が判明して来るまでの間は、投資家としては基本的に様子見が無難で、再選挙の結果として緊縮財政受け入れ方向が決まれば株価は回復、逆に緊縮財政拒否が決まればギリシャのユーロ離脱で大激震、更なる下落ということでしょうか。

日経平均はチャート的には底値感があり、仕込みたい印象も持ちますが、ここはテクニカルでは解釈できない「理外の理」が働く場面かも知れず、外人の売りが終了するまでは様子を見たいと思います。

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(日経平均チャート週足5年間:SBI証券より引用)

[以下、引用]
◆(※1)市場で問答無用のリスクオフ、恐怖指数は「パニック」前夜の水準/ロイターより

2012年 05月 18日 14:09 JST
[東京 18日 ロイター] 欧米株安と円高進行を背景に東京市場では問答無用のリスクオフが進んでいる。ギリシャとスペインの債務・金融問題に加え、マクロ指標の悪化で米経済減速懸念が強まったことで、海外勢が株売り・債券買いを加速している。

国内経済は底堅く推移しているものの、海外からの「暴風」に抗えない状態だ。市場の「恐怖指数」は徐々に上昇しており、パニック相場になるかの分岐点に差し掛かってきたとの見方も出ている。

<理屈抜きの株売り>

「売りが売りを呼んでいるような状態で、理屈で説明できるところを超えた下げ相場になっている」とマネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は話す。

前場の日経平均.N225は前日比200円を超える下落となり、1月19日以来、約4か月ぶりに8700円を割り込んだ。東証1部値下がり銘柄は1500を超え、輸出株を中心にほぼ全面安となっている。「海外勢が値動きの激しいハイベータ株に売りを出している。割安感に注目した買いもあるが国内勢の動きは依然鈍い」(米系証券トレーダー)という。

市場の不安感が急速に高まり、欧米株の下落でリスク許容度が低下した海外勢が、日本株のウエートを引き下げている格好だ。S&P500を対象とするオプション取引のボラティリティを元に算出され、投資家の不安心理を映すことから「恐怖指数」と呼ばれるシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー(VIX)指数.VIXは17日、9.97%上昇の24.49ポイントと、昨年12月19日以来の高水準となった。

背景は欧州問題に加え、経済が比較的底堅いとみられていた米国でも、景気減速懸念がさらに強まったことだ。

スペインでは17日、一部国有化された大手銀行バンキア(BKIA.MC)から預金が大量に流出したとの報道で株価が急落したほか、ムーディーズは政府による銀行支援能力が低下しているとして欧州最大の銀行であるサンタンデール(SAN.MC)を含むスペインの16行を格下げした。米国では5月フィラデルフィア連銀業況指数が予想外に低下し、マイナス5.8と業況判断の分かれ目となるゼロを下回った。

VIX指数は昨年8月初めに20ポイント台前半に上昇した後、欧州債務問題への警戒心が高まる中で一気に48ポイントまで上昇。世界的な株安が連鎖し、日経平均は11月まで下げ基調をたどり、8100円台まで下落した。

大和証券・投資戦略部部長の高橋和宏氏は「スペインの銀行格下げなどによりユーロ圏の不透明感が増したほか、米経済指標の下振れでドル安に振れたことが日本株の大幅安につながっている。ギリシャはデフォルトやユーロ離脱などの前に、資金繰りが厳しくなった同国銀行による預金の引き出し凍結などが警戒されている」と分析。パニック的な動きになるかならないかの分岐点に差し掛かっていると指摘している。

<底堅い国内経済や割安感は「二の次」に>

恐怖感が支配するマーケットでは、足元の景気やバリュエーション評価による割安感の台頭などは「二の次」になる。

日本の1─3月実質国内総生産(GDP)は年率換算プラス4.1%。みずほ証券リサーチ&コンサルティングによると、5月11日までに発表された東証1部の上場企業894社(除く金融)の2013年3月期の純利益見通しは前期比63.4%増だ。日経平均の予想PERは11倍台、PBRは1倍を割り込んでいる。

だが、円高進行による企業業績圧迫など不安感が先行しており、「勇気をもって積極的に買いに動ける投資家は乏しい」(準大手証券ストラテジスト)という。ユーロ/円は100.56円まで下落して2月7日以来の安値を付けたほか、ドル/円は79.13円まで下げて2月17日以来の安値となった。

リスクオフの円高が再び進行しており、多くの企業が今期の想定為替レートとする1ドル80円、1ユーロ105円を下回り始めている。

三菱東京UFJ銀行・市場企画部チーフアナリストの内田稔氏は、「目先的には、円高がさらに強まる展開が警戒される。ユーロの100円割れが視野に入るほか、ドルは79円を割り込む可能性がある」との見方を示す。

ただドル/円の下げは限定的とみているという。「日本の貿易収支が悪化しているほか、M&Aなど国内企業の対外投資に伴う円売り需要は根強い。80円割れの水準ではドル/円を買いたい向きは多いだろう」と話している。

<8年10カ月ぶりの低金利>

5月フィラデルフィア連銀業況指数が悪化したとはいえ、米景気認識が急速に悪化したわけではない。4月のISM製造業指数や鉱工業生産、個人消費が堅調だった流れとは整合的ではないと複数のエコノミストから指摘が出ている。ただ、欧州発のグローバル景気減速が米国まで及び始め、5月に入って景気の流れが悪化した可能性はある。

JPモルガン・アセット・マネジメントのエコノミスト、榊原可人氏は米経済について「実質金利はマイナスで生産活動も堅調だ。企業はキャッシュを豊富に持っており業績も堅調に推移している。変調の兆しはみえていないが、欧州問題で企業経営者が設備投資や雇用を先送りし始めるリスクはある。株安による逆資産効果も懸念される」との見方を示している。

投資家のリスクオフ行動は加速しており、マネーは「安全資産」の国債に一段と流れ込んでいる。日本の10年長期金利は0.815%となり、日銀量的緩和時の2003年7月以来8年10カ月ぶりの水準に低下した。

欧州債務問題や米景気懸念などを背景に安全資産とされる米債が買われた流れを引き継いで買いが先行。前日にショートを入れていた短期筋が買い戻しを余儀なくされたほか、海外勢よる株先売り/債先買いを巻き込んで、円債先物6月限は一時143円63銭と2010年10月以来の高値を付けた。

RBS証券チーフ債券ストラテジストの福永顕人氏は「欧州問題の影響を受けて、グローバルに金利が低下してきたが、円債金利は2010年10月に付けた水準に近づく過程で、より長い年限に運用資金をシフトする動きが出てきていた。キャリーを重視する慎重なスタンスから積極的にキャピタル・ゲインを狙う動きとなっており、円債相場は高揚している」と話している。

(ロイターニュース 伊賀大記 編集 橋本浩)

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◆(※2)焦点:ギリシャだけでない銀行預金流出、昨年ベルギーや仏伊でも/ロイターより抜粋
2012年 05月 18日 13:03 JST
[ロンドン/アテネ 17日 ロイター] ギリシャのパプリアス大統領と各政党党首の会談議事録によると、同国では14日だけで少なくとも7億ユーロの預金が銀行から引き出されことを受け、政府内に大規模な取り付け騒ぎが起きるのではないかと動揺が走った。

しかし、自分の預金がどうなるか心配なのはギリシャ国民だけではない。17日には一部国有化されたスペインの銀行のバンキア(BKIA.MC)で10億ユーロを超える顧客の預金が引き出されたと伝えられた。また統計によれば、昨年はベルギーやフランス、イタリアの銀行からも預金が流出した。
こうした流出はペースがゆっくりなので今のところパニックは起きていないが、銀行への信頼が突然失われれば、事態は急変しかねない。

英国のノーザンロックも2008年9月に一夜にして信頼をなくし、大半の預金は保証されたにもかかわらず、現金引き出しの長い列ができた。結局、英政府はノーザンロックを国有化した。

M&Gインターナショナル・ソブリン・ボンド・ファンドの資産運用担当者、マイケル・リデル氏は「(ギリシャの預金流出は)比率的には大きな数字ではないかもしれないが、非常に憂慮すべきストーリーだ。ユーロ圏においてわれわれが目にしているのは、スローモーションで起きている銀行取り付けだ」と話した。

<預金シフト>

欧州の120を超える上場銀行のデータを分析すると、昨年は欧州全域で劇的な預金シフトが生じていたことが分かった。

ベルギーのデクシア(DEXI.BR)、KBC(KBC.BR)の2行だけでも1200億ユーロ強の預金が流出。フランスの銀行も昨年はギリシャに対するエクスポージャーの大きさが響き、流動性への懸念が出たため、クレディ・アグリコル(CAGR.PA)とBNPパリバ(BNPP.PA)からそれぞれ約300億ユーロが出ていくなど、流出額は計900億ユーロ程度に上った。またイタリアの銀行から約300億ユーロが流出した。

逃げ出した預金は英国に流れ込んだ。4大銀行だけでも1400億ユーロ以上の新規預金が入り、アジアを重視しているHSBC(HSBA.L)やスタンダード・チャータード(STAN.L)は特に安全な避難先とみなされた。

英銀以外で大幅に資金が流入したのは、ドイツ銀行(DBKGn.DE)やスイスのクレディ・スイス(CSGN.VX)、UBS(UBSN.VX)、ロシアのズベルバンク(SBER.MM)、VTB(VTBR.MM)だった。

(Steve Slater、George Georgiopoulos 記者)
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]