スペインが全面支援に言及、ECBは保有ギリシャ国債の元本減免も/ロイターより

欧州経済情勢は、結構強い緊迫感があります。基本的には、スペイン、ギリシャ、ポルトガル等の経済不況の底打ちが見えていないことで、銀行の不良債権額が未確定でなおかつ拡大途上にあるという点が問題です。「公的資金」を投入しようにも、投入額が確定しなければ、最終的決着は無理です。しかも、「公的資金」の原資はドイツ頼みです。

[ロイター記事のまとめ]
①スペインがようやく国として全面的な支援要請を行う可能性を認めたことが関係筋の発言で明らかとなった。
②スペインは約3000億ユーロの国際通貨基金(IMF)・欧州連合(EU)支援が必要になる可能性がある。
③ただしドイツは、「欧州安定メカニズム(ESM)が機能を開始するまで何も進展しない。ESMが機能し始めた時点でスペインの国債利回りの水準を検証し、(支援に関する)問題を再考する可能性がある」としている。
④ギリシャをめぐっては、欧州当局者がギリシャ債務のさらなる削減に向け、欧州中央銀行(ECB)やユーロ圏各国中銀が保有するギリシャ国債に30%のヘアカット(債務元本の減免率)を適用する案を検討していることが、複数の関係筋の話で明らかになった。

欧州は、まだまだ当面ガタガタしそうです。


[以下、引用]
◆スペインが全面支援に言及、ECBは保有ギリシャ国債の元本減免も/ロイターより
2012年 07月 28日 11:07 JST
[ブリュッセル 27日 ロイター] スペインがようやく国として全面的な支援要請を行う可能性を認めたことが関係筋の発言で明らかとなった。スペインは過去に支援を受けた国々よりもはるかに経済規模が大きく、支援が現実となればこれまでになく大がかりになるとみられている。

ユーロ圏当局者はこの日、24日に行われたスペインのデギンドス経済相とショイブレ独財務相との会談の席で、デギンドス経済相から、スペインは約3000億ユーロの国際通貨基金(IMF)・欧州連合(EU)支援が必要になる可能性があるとの話があったことを明らかにした。

同当局者はロイターに対し、「デギンドス経済相は、約3000億ユーロの全面的な支援に言及した」と指摘。ただ、ドイツはその時点で支援を要請するとの考えを支持しなかったという。

さらに「欧州安定メカニズム(ESM)が機能を開始するまで何も進展しない。ESMが機能し始めた時点でスペインの国債利回りの水準を検証し、(支援に関する)問題を再考する可能性がある」と語った。

これについて、スペイン政府の報道官はそうした計画を強く否定。「支援要請の可能性はこれまで検討されておらず、協議されたこともない」と述べた。

スペインは銀行部門に対する支援は受け入れているものの、国全体への支援は必要ないとの立場を繰り返し表明している。ただこれまで支援を受けた国がいずれも国債利回りの急上昇をきっかけに支援を要請した経緯を踏まえれば、スペインの支援要請も避けられないのではないかとみられている。

ブルームバーグ通信はこの日、ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁とバイトマン独連銀総裁が会談し、ユーロ圏防衛に向けた複数の措置について協議すると報じた。

報道は中銀筋2人の情報として、ドラギ総裁が会合で、利下げ効果の波及を確実にするため、ECBによる流通市場での政府債買い入れとともに、欧州救済基金が発行市場で政府債を買い入れる案を示す見通しであることを明らかにした。

独連銀報道官は「異例の会合ではない。協議の必要があれば会合は開かれる」と説明。ECB報道官は、ドラギ総裁が理事会メンバーと会談するのは通常の慣行としつつも、それ以上の詳細についてはコメントしなかった。

バイトマン総裁は、ECBの政府債買い入れ計画に反対を唱えている。

ブルームバーグはまた、ドラギ総裁がESMへの銀行免許付与を支持していると報じた。

こうしたなか、ギリシャをめぐっては、欧州当局者がギリシャ債務のさらなる削減に向け、欧州中央銀行(ECB)やユーロ圏各国中銀が保有するギリシャ国債に30%のヘアカット(債務元本の減免率)を適用する案を検討していることが、複数の関係筋の話で明らかになった。関係筋は、これによりフランス、キプロス、マルタなどの一部ユーロ加盟国の中銀への資本注入が必要になる可能性もあると指摘している。

ギリシャへの公的部門による支援は、ユーロ加盟国による2国間融資も含めて、現在約2200億─2300億ユーロ。関係筋は、債務元本に30%の減免率を適用すると、ギリシャ債務は700億─1000億ユーロ削減されるとしている。

関係筋は「各国中銀が保有するギリシャ国債に対する債務減免措置を採らなかったことは、大きな誤りだった。これは非常に大きな落ち度だった」としている。

また、この協議に関与しているユーロ圏当局者はロイターに対し、「ギリシャに関して公的部門関与(OSI)が実施される確率は70%とみている」と述べた。ただ関係筋は「非常に複雑な案件で、まだ検討の初期段階にあるため、方法の詳細は何も決定されていない」としている。ECBはこの件に関するコメントを控えた。

市場ではこの日も、ECBをめぐる動向が焦点となった。

仏紙ルモンドは27日、匿名の複数の関係筋の話を引用し、ユーロ圏各国政府とECBがスペインとイタリアの借り入れコストの低下を促すため、金融市場への介入を準備していると報じた。

ルモンド紙によると、ECBは、各国政府がユーロ圏救済基金である欧州金融安定ファシリティー(EFSF)とEFSFの後を引き継ぐ欧州安定メカニズム(ESM)の活用で合意することを条件に、協調行動へ参加する意向という。

計画では、まずEFSFが発行市場でスペインとイタリアの国債を購入。ESMが発足する9月からはESMがそれを引き継ぐ可能性がある。同時にECBはスペイン、イタリアの国債を流通市場で買い入れる。ただ計画の最終的な取りまとめには数日もしくは数週間を要する見通しという。

しかしドイツ連銀の報道官は欧州救済基金に銀行免許を付与することについて、事実上の政府債務ファイナンスになり欧州条約で禁止されていると指摘した。また、ECBよりもEFSFによる債券買い入れの方が問題が少ないとの見解を示した。

さらに、ECBの債券買い入れプログラム(証券市場プログラム=SMP)に対して「独連銀は引き続き批判的見解を持っている」と語った。

ドラギECB総裁は26日、ECBにはユーロ圏を守るために責務の範囲内で何でもする用意があると述べ、高水準となっている重債務国の国債利回りの引き下げに動く可能性もあることを示唆した。

ドイツのショイブレ財務相はドラギ総裁の発言を歓迎する意向を表明した。声明で「金融および信任の危機を切り抜けるために、各国政府も必要な措置を実施していくことが、(ドラギ総裁の発言の)前提条件となっている」と指摘した。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]