キプロス、第2位銀行を整理 預金課税の代替案

キプロス情勢の続編です。ユーロはギリシャの債務危機で大揉めに揉めた後、ECBの流動性供給でようやくマーケットが落ち着いて時間稼ぎが出来ました。ユーロ首脳はその時間稼ぎの間に、善後策を十分に練ったはずですから、今回のいかにも突然表面化したキプロスの債務処理問題は、結構意図的とも思えます。

今回は、キプロスの経済規模から判断して、本当のユーロ離脱を想定した市場実験なのかも知れません。もちろん、離脱の本丸はギリシャというわけですが、さすがに最初からギリシャが離脱ということは影響が大き過ぎるかも知れず、規模的にどうにでも制御可能なキプロスの債務を整理してユーロを離脱処理させてしまう計画の様にも勘繰れます。

情報が不完全ではありますが、ブルームバーグによれば、キプロス・ポピュラー銀行とバンク・オブ・キプロスは分割されていわゆるバッドバンクとグッドバンクが設立され、欧州連合(EU)が上限とする10万ユーロ(約1222万円)までの預金保険対象部分はいわゆるグッドバンクに移管され損失を被らない一方、保険対象外の部分はバッドバンクに移され、資産が売却可能になるまで凍結されるということの様です(※2)。

ユーログループとドイツ政府は、投資家を巻き込む義務があると認識しているため、預金課税が却下された以上は、この銀行分割処理が代替案として採用される可能性が高そうに思います。

そして、キプロス経済再建の方策としては、ユーロ離脱による通貨切下げが穏当な選択でしょう。離脱時にはマーケットには激震が走るかも知れませんが、おそらく短期間で収束するものと思います。

ただ、当室としては円高を受けて微速後進の方針です。黒田日銀総裁の就任とその緩和方針は、すでにマーケットは相当織り込み済みの様です。


[以下、引用]
◆(※1)キプロス、第2位銀行を整理 預金課税の代替案/日経新聞WEB刊より

2013/3/22 10:40 ニュースソース 日本経済新聞 電子版  【ニコシア(キプロス)=御調昌邦】地中海の島国キプロスの支援を巡り、同国中銀のデメトリアデス総裁は21日、金融機関の無秩序な破綻を回避するための整理・再建策を盛り込んだ法案を公表し、同国第2位の銀行に適用する考えを表明した。欧州連合(EU)のユーロ圏諸国などが求めた銀行預金課税に代わる案の一環で、金融支援の同意を取り付けるうえで有効に働く可能性がある。

同総裁は大統領府で声明を読み上げ「(銀行の)整理によって金融システムの破綻を回避できる」と指摘。経営が悪化している同国第2位のキプロス・ポピュラー(ライキ)銀行に整理策を適用すると明らかにした。同銀行グループの資産は2012年9月末で約300億ユーロ(約3兆6000億円)。

欧米メディアによると、優良資産からなる健全銀行と、不良資産を集めた「バッド・バンク」に分割し、健全銀行は最大手のキプロス銀行に移すとみられる。

同総裁は、整理策を実施しなければ、キプロス・ポピュラー銀行は即座に破綻するとの見方を示した。整理策について10万ユーロまでの預金は全額保護されると明言したが、それ以上の金額の扱いは明確にしなかった。

大手銀行を整理することで、そのまま存続させて救済するよりも公的資金が少なくて済み、キプロス政府にとっては資金を捻出したのと同じ効果があるとみられる。欧州委員会の報道官は、キプロスが銀行の整理・再建策を打ち出したことを基本的に歓迎した。

キプロス国内が反発する預金課税について、代替財源を求めるユーロ圏は21日、財務相による電話協議を実施。「キプロス政府が示す新たな提案について協議する用意がある」とし、国内調整を急ぐように求めた。


◆(※2)ユーログループ、キプロスの銀行2行閉鎖と資産凍結を検討/ブルームバーグより

3月22日(ブルームバーグ):キプロスに救済条件として銀行システムの縮小を迫っているユーロ圏財務相会合(ユーログループ)は、極端過ぎるとして先週断念した要求を復活させている。4人の欧州当局者が明らかにした。

協議は継続中だとして同当局者が匿名を条件に語ったところによると、ユーログループはキプロスの大手銀行2行を閉鎖して預金保険対象外の資産を凍結する計画を検討中。

関係者の1人によれば、キプロス・ポピュラー銀行とバンク・オブ・キプロスは分割されていわゆるバッドバンクが設立される。欧州連合(EU)が上限とする10万ユーロ(約1222万円)までの預金保険対象部分はいわゆるグッドバンクに移管され損失を被らない一方、保険対象外の部分はバッドバンクに移され、資産が売却可能になるまで凍結されると4人の当局者は述べた。

国際通貨基金(IMF)と欧州中央銀行(ECB)の支持を得ている同計画では、保険対象外の預金者を含む無担保の債権者の損失は40%に達する。先週却下されたこうした方式は、保険対象の預金への課税や、キプロスの銀行がECBからの支援を失い無秩序に経営破綻する状況よりも良い選択肢だと見なされているという。

「深刻な事態」

ドイツのメルケル首相のザイベルト報道官は20日にベルリンで「キプロスの銀行2行は支払い不能の危険にさらされており、深刻な事態だ」と指摘。「何らかの解決策が実行できるはずだが、それは投資家を巻き込んだ形でしかあり得ない。ユーログループとドイツ政府は、投資家を巻き込む義務があると認識している」と述べた。

ユーログループは21日遅くの電話会議後、キプロスに対し、救済資金をできるだけ早急に受け取れるようにするための新たな提案を要請した。

キプロスはまた、預金保険対象外の預金者への損失を避けるために他の選択肢も模索中。「連帯投資基金」などの選択肢はユーロ圏当局の承認を得ていない。

ドイツ紙ハンデルスブラットが22日に匿名の中銀当局者の話を引用して報じたところによると、ECBはキプロスのATM(現金自動預払機)の引き出し制限額を引き下げる用意があり、救済合意とは別に資本規制を導入する可能性がある。

一方、キプロス中銀は預金保険対象の預金を10万ユーロまで保護するとともにポピュラー銀の経営存続を目指す銀行改革法を提案した。

原題:Euro Area Said to Weigh Closing Cyprus Banks, Asset Freeze(1)(抜粋)

更新日時: 2013/03/22 15:34
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]