中国市場、理財商品が影 社債発行中止相次ぐ

どうやら中国の「影の銀行」問題が、俄かに騒がしくなって来ています。2月14日の日経新聞の報道に加え、ロイターでは追加で「影の銀行」6社に新たなデフォルト懸念という報道がなされています(※1)(※2)。報道件数も注目度合いも上昇し、芋づる式に破綻懸念が浮上しつつある様子が伺えます。

中国の影の銀行(理財商品)問題の影響については、当室は次のように解釈しています。

①基本的には中国国内の人民元建ての不良債権問題であり、米国発サブプライム問題の時の様な世界経済的な金融上の悪影響は起こらない。
②ただし、ムーディーズの最新の推計によると、中国の12年末時点のシャドーバンキング(影の銀行)の債務は4兆8000億ドル(約500兆円)に上り、同国の同年の国内総生産(GDP)の55%に相当する。
③このように理財商品残高の規模が巨額であるため、これが連鎖的に不渡りとなれば、中国国内の金融経済体制の混乱により、急激な円高と、中国向け輸出入の激減が予想され、日本株も下落する可能性が高い。
④併せて、中国への輸出依存度の高い資源国の通貨下落と景気低迷が発生する。
⑤米国の景気回復が継続しているので、先進国経済へのマイナス影響は、総体的には大きくはならない。
⑥中国国内の混乱が拡大する場合には、同国の政治体制そのものの激変が発生する可能性がある。

ところで、当ブログを開設した2008年頃の経済情勢を想起してみますと、丁度サブプライム問題が騒がれていた頃ですが、当時の世間感覚と雰囲気は、現段階における中国「影の銀行」問題の騒がれ方、取り上げられ方と何やら符合しているように感じます。2008年夏ごろにはサブプライム問題として騒がれてはいても、まだ大丈夫ではないか、何とかなるのではないか、といったマーケットの雰囲気と地合いでしたが、その後急激にマイナス影響が拡大して大混乱となってしまいました。

当室も今回は慎重に推移を見守る方針とし、日本株は損切りしてほぼ処分を終了しました。普通であれば、様子を見ながらナンピン買い下がりで少し時間をかけて損失拡大を防止するのが決まり手ですが、どうも余りいい予感がしないため、今回は株式投資ほぼ全面撤退としています。


[以下、引用]
◆(※1)中国「影の銀行」6社に新たなデフォルト懸念、石炭会社向け融資で=報道
2014年 02月 14日 16:22 JST
[上海 14日 ロイター] -中国の「影の銀行(シャドーバンキング)」取引のデフォルト危機で注目される経営難の石炭会社、山西聯盛能源に対し、国内の信託会社6社が総額50億元(8億2460万ドル)以上を融資していたことが分かり、新たなデフォルト懸念が浮上している。中国証券報が14日、匿名筋の話として伝えた。

上海証券報は今週、吉林省信託が組成し、中国建設銀行(CCB)が販売した高利回り投資商品の返済が滞ったと報道。この商品は山西聯盛能源への融資を裏付けとしていた。

長安国際信託のウェブサイトによると、同社は昨年3月、山西聯盛能源の系列会社に関連した投資商品12億元相当を販売。この商品は数週間以内に償還期限を迎えるという。同社の広報担当者からのコメントは得られていない。

中国証券報は、山西聯盛能源に融資した他の信託会社5社の名前は挙げていない。

山西省の裁判所は昨年、山西聯盛能源のあらゆる債務の残高は300億元にのぼり、同社が債務再編を申請したと明らかにしていた。

これとは別に、21世紀経済報道は14日、山西聯盛能源への融資を裏付けとした高利回り投資商品の投資家が、吉林省信託だけでなく、商品を代理販売したCCBにも返済を求めていると伝えた。同紙によると、投資家は吉林省信託の投資商品を購入するための書類や送金の手続きはすべてCCBで行われた上、CCBの販売員は商品にリスクはないと説明したと主張。一方、山西省のCCB幹部はこの問題の責任は同行にないとあらためて表明した。

CCBはコメントの求めに応じていない。

中国証券報によると、山西省の当局者は、信託会社や商業銀行を含めた山西聯盛能源の債権者とともに債務再編の調整に奔走している。調整がうまくいけば、信託商品の投資家への支払いが最終的に実現する可能性がある。


◆(※2)中国市場、理財商品が影 社債発行中止相次ぐ
デフォルト懸念で金利上昇
2014/2/14 2:05 ニュースソース 日本経済新聞 電子版

【上海=土居倫之】高利回りをうたった理財商品の債務不履行(デフォルト)懸念をふまえ、中国企業が相次いで社債やコマーシャルペーパー(CP)発行を見送っている。今年に入ってから発行中止・延期となった社債などは計57億5000万元(約1000億円)に上る。中国が抱える金融不安は世界経済の新たなリスクとなり始めており、中国政府が事態をどう沈静化させるかが注目される。
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中国でプラスチック製品を生産する浙江大東南集団は13日、予定していた4億元のCP発行を延期すると発表した。建設・不動産の江蘇中南建築産業集団も1月下旬、「投資家の需要が不足している」ことを理由にCP発行を中止している。

今年1月以降、社債やCPの発行を見送った中国企業は9社(発行予定額は57億5000万元)に達する。この間の全体の発行額の約2%にあたり、とくに政府の後ろ盾がなくて投資家の買い注文を思うように集められない民営企業の発行見送りが目立つ。

投資家の需要が鈍っているのは「影の銀行(シャドーバンキング)」の象徴的な存在である理財商品のデフォルト懸念がくすぶっているためだ。信用リスクの拡大が金利上昇に拍車をかけ、企業は社債などを発行しても高めの金利を支払わないと資金を調達できない。ダブルA格付けの社債の平均利回り(7年物)は1月中旬に8.44%を付け、信用力が高い国債との格差が開いた。

■石炭業界が震源

12日には中国紙が、吉林省信託(吉林省長春市)が運営する理財商品の返済が滞っていると伝えた。9億7240万元の発行残高のうち、期日が到来した7億6340万元が今も返済されていない。残りも月内と3月に返済期日を迎える。

この理財商品の資金は民営採炭会社の山西聯盛能源(山西省)に投資されていた。同社のトップは娘の結婚式に7000万元を投じて話題を集めた人物。石炭バブルを象徴する採炭会社だったが、石炭価格の急落で資金繰りに窮した。事実上の経営破綻で、投資は焦げ付いている。ただ同社と山西省政府が戦略的再建案に署名したため、救済措置への期待から、騒ぎはひとまず収まった。

1月下旬には山西省の別の採炭会社に投資していた理財商品(発行額は30億元)が期日の直前にデフォルトを回避したばかり。このときは当局の意向を受けたとされる「第三者の投資家」が理財商品を買い取り、元本が返済された。
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とはいえ、理財商品の残高は銀行経由で販売された分だけで9兆9000億元にもなる。全てが滞りなく返済されるかどうかはわからない。

地方の民営採炭会社が震源地になっているのには理由がある。中国の急速な成長に伴って巨額の資金を必要としていたが、銀行が融資を拒み、理財商品の資金が流れ込んだからだ。その後の景気減速で発電や鉄鋼生産のための石炭需要がしぼみ、環境規制の強化もあって中国企業の中でも業績悪化が著しい。

■世界に波及懸念

「今年上期にデフォルトが起きる可能性がある」(UBS証券の陳李ストラテジスト)。市場ではこんな見方が増えている。もちろん、当局の介入によって元本が損なわれる事態にはならないという指摘も多いが、アジア新興国の最大の輸出先である中国の金融不安は世界経済のリスクになりかねない。

13日の東京市場。日経平均株価の終値は1万4534円74銭と、前日比で265円32銭(1.79%)下げた。下げ幅は一時300円を超えた。

株安にはいくつかの要因があるが、その一つが中国での理財商品の返済遅れ。いったん後退していた投資家のリスク回避が再び強まった。野村証券の田村浩道チーフ・ストラテジストは「悪影響が広まらないように中国政府が対処する可能性はあるが、返済遅れのようなケースが続けば、世界株安のきっかけになりかねない」と指摘する。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]