ロシア大統領がクリミア編入条約に署名、米欧は緊急G7開催へ

プーチン大統領が周到な作戦展開で、クリミア自治共和国をロシアに編入してしまいました(※1)。これに対して、欧米は声高に非難こそしていますが、実際の手出しは出来ない状況です。以前であれば米国が黙ってはいないところですが、米国の弱体化とオバマ大統領の無能無策が明らかです。

ロシア、中国ともにオバマ大統領の弱腰外交を見透かしており、周辺国への強硬路線を取り始めています。中国はハワイよりも西は中国の支配領域だと想定している気配が濃厚であり、またロシアも米国の介入なしと判断してのクリミア併合作戦です。国民投票実施やルーブル導入など、あまりにも日程的にスピーディで手順・手際が良好過ぎますし、整然とした計画性が際立っています。

クリミア問題は、地理的に日米英独仏からは少し距離がありますので、先進国への直接的な経済的影響は大きくはないものと思われ、従って先進各国のロシア非難もいま一つ本気でない様にも見えます。おそらくはロシアの思惑通りの決着となりそうであり、シリアに追加して、ウクライナでもロシアの影響力が伸長しそうな印象です。ただ、クリミア半島以外のウクライナ東部領域で軍事的対立が長期化しますと、ロシア経済には大きなマイナスとなりましょう(※2)。


[以下、引用]
◆(※1)ロシア大統領がクリミア編入条約に署名、米欧は緊急G7開催へ
2014年 03月 19日 07:24 JST
[18日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は18日、ウクライナ南部クリミアをロシアに編入する条約に署名した。大統領はウクライナの他の地域を占領する考えはないとも強調した。ウクライナ、米欧はこれに反発。米欧は、ロシアへの制裁を強化する構えで、来週の核安全保障サミット中に緊急日米欧主要7カ国(G7)会議を開き、対応を協議する。

プーチン大統領は、上下両院議会の合同会議で演説を行い、クリミアで16日実施されたロシアへの編入の是非を問う住民投票で、クリミアとロシアの再統合を望む声が圧倒的多数だったと指摘。「クリミアは、われわれすべてにとり歴史的な重要性を持つ」とした上で「国民の心のなかでは、クリミアはロシアといつも不可分の存在だったし、いまもそうだ」と語った。

議会は今後数日以内に、条約批准に向けた手続きを開始すると見られる。

こうした中、クリミアでは、シンフェロポリのウクライナ軍基地が何者かによる襲撃を受け、兵士1人が死亡した。ロシアが3週間前にクリミア半島を実効支配して以来、同地域での軍事衝突による初の死者となる。

ウクライナ当局は、襲撃者がロシア軍の制服を着ていたと主張。事態を受け軍に身を守るための武器使用を認めた。

<ロシアへの反発強まる>

ウクライナや西側諸国からはロシアへの批判が相次いだ。

ウクライナ危機打開に向けた欧州の主要な仲介役を務めたポーランドのトゥスク首相は、ロシアの動きは国際社会にとって容認できないと批判。英国は、ロシアとの軍事面の協力を停止した。

米国のバイデン副大統領は、ロシアと国境を接する北大西洋条約機構(NATO)加盟各国の安全保障に対するコミットメントを強調するとともに、ロシアがクリミアの編入手続きを進めた場合、欧州連合(EU)と米国はロシアに対して追加措置を講じるとの方針を示した。

米ホワイトハウスは、日米欧7カ国(G7)首脳が来週ハーグで開催される核安全保障サミットの合間に、ウクライナ情勢について協議することを明らかにした。

ウクライナ外務省は、クリミアをロシアに編入させる条約をウクライナとして認めないと表明。「クリミアがロシア連邦に編入されるとの合意書の署名、およびロシア大統領が行った演説は、法律にも民主主義にも常識にも合致しない」と言明した。

英国のキャメロン首相は「ロシアが、偽りの住民投票の結果に基づき、武力をもって国境を変更したことは全く受け入れられない」と批判し、プーチン大統領に「一段と深刻な結果を招く」と警告した。

フランスのオランド大統領は、プーチン大統領の条約署名を非難した上で、20─21日の欧州理事会では「強力かつ協調した対応」が必要になるとの認識を示した。

日本政府も、新投資協定や宇宙協定など三つの新たな日ロ協定の締結交渉開始凍結を含むロシアへの経済制裁を決定している。

<プーチン大統領 クリミア編入の正当性強調>

プーチン大統領は演説のなかで、コソボ問題を引き合いに出し、西側諸国はコソボがセルビアから独立するのは認めたが、クリミアには同等の権利がないと否定するのは偽善だと批判。「同じ物がきょうは黒く、あすは白いなどということはあり得ない」と語った。

またクリミア半島はロシアの聖地であると表現し、西側諸国との対立は望まないとしつつも、制裁を発動した西側諸国は一線を越え、無責任な行動に走ったと批判した。

ウクライナの暫定政権には「ネオナチ、ロシア嫌い、反ユダヤ主義者」が含まれていると非難した。

ドイツに対しては、1990年のドイツ再統一をロシアが支持したように、ドイツもまたロシア国民の再統一への願いを支持するものと確信していると述べた。中国については、ロシアを支持しているとして感謝の意を示した。

プーチン大統領は、ロシアとして、ウクライナの一層の分断を望んでいないと強調。「ロシアが脅威であると説いたり、他の地域もクリミアの二の舞になると吹聴する者たちを信用してはならない。われわれはウクライナの分断は望んでいないし、必要としてもいない」と語った。

NATOがウクライナに勢力を拡大する可能性について懸念を示し「(クリミアにおけるロシア黒海艦隊の拠点である)セバストポリでNATO水兵の出迎えを受けるなどということは、あってはならないことだ」と話した。


◆(※2)ロシア、東・南部への軍事介入準備の可能性=ウクライナ大使
2014年 03月 20日 19:30 JST
[ジュネーブ 20日 ロイター] -ウクライナのクリメンコ・ジュネーブ国際機関代表部大使は、ロシアが一段の軍事介入の準備をしている可能性があるとの見方を示した。

同大使はウクライナの人権問題に言及し、「ロシアがウクライナ東部や南部への本格的な軍事介入に向けて準備している兆候がある」と述べた。

大使の発言には各国大使が支持を表明したが、ロシアは異議を唱えた。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]