中国住宅 都市の9割下落

どうも本当は景気が悪い様子の中国のマクロ経済的動向には一定の注意が必要です。特に不動産価格の動向は重要です。8月19日の日経新聞に、「中国住宅 都市の9割下落」ということで7月の住宅市場動向が報道されています(※1)。

直接の原因は、不動産税(日本の固定資産税に相当)を全国に広げるための布石として、全国一律に不動産登記情報を把握するシステムの整備に向けた条例案を中国国務院(政府)がまとめたことにある様ですが、単純に住宅の保有に対する課税が強化されるという理由だけではなく、多数の住宅に投資して蓄財に励んできた官僚らが、私財をあぶり出されて汚職容疑で摘発されるのを恐れ、保有不動産を売り急ぐという観測も背景にあるのがさすがに中国です。

とはいえ、「住宅市場の冷え込みが中国景気全体の足を引っ張る構図は、今年に入って強まる一方だ」という一文には注意が必要だと思います。

経済崩壊が進行するとしても建物が倒壊するようにバッタリとは行きません。経済状況はもともと或る程度の時間をかけて少しずつ崩壊が進行しますし、一方で中国政府も腕力で崩壊を防止しようとしますので、明確な形で見えるまでには、あるいは何年かは必要かも知れません。我々としては、時々報道される状況証拠を注視して判断するのみです。


[以下、引用]
◆(※1)中国住宅 都市の9割下落 7月、北京や上海にも波及 景気下押し、一段と
2014/8/19付日本経済新聞 朝刊

【北京=大越匡洋】中国の住宅市場の冷え込みが一段と鮮明になった。中国国家統計局が18日発表した7月の新築住宅価格動向によると、主要70都市の約9割、64都市で前月より価格が下落した。全国に値下がりが広がり、中国景気の下押し圧力が増した格好だ。中国政府は大規模な景気対策には依然として慎重だが、市場では金融緩和への期待が強まっている。

「『北上広深』がそろって値下がり」――。中国メディアは全国に広がる住宅価格の下落をこう表現した。「北上広深」とは、特に住宅需要が強い北京、上海、広東省広州、同深圳の四大都市を指す。7月は4都市の住宅が今年初めて同時に値下がりし、価格が下落した都市数は6月の55都市から9つ増えた。

1~7月の不動産販売額は前年同期比8.2%減と、1~6月(同6.7%減)より落ち込みが大きかった。販売不振で在庫が増え、「値下がりは続く」との見方から不動産投資の伸びが鈍る悪循環。住宅市場の冷え込みが中国景気全体の足を引っ張る構図は、今年に入って強まる一方だ。

中国国務院(政府)は15日、全国一律に不動産登記情報を把握するシステムの整備に向けた条例案をまとめ、一般から意見を募る手続きに入った。住宅の売買状況などを一括して記録し、不動産取引を透明にするための仕組みだ。現在は重慶など一部で試行している不動産税(日本の固定資産税に相当)を全国に広げるための布石でもある。

条例案が公表されると、中国国内では「住宅の投げ売りが起きるのではないか」との見方が広まった。住宅の保有に対する課税が強化されるという理由だけではない。多数の住宅に投資して蓄財に励んできた官僚らが、「私財をあぶり出されて汚職容疑で摘発されるのを恐れ、保有不動産を売り急ぐ」との観測も背景にある。

実際に「居住歴のない投資対象のマンションが多く売りに出され、価格を押し下げている」(北京の不動産仲介業者)という現象も起きている。

貴州省貴陽は5割超、雲南省昆明も4割超――。中国紙「第一財経日報」は15日、地方都市の域内総生産の多くを不動産投資が占める現状を報じた。住宅価格の調整が長引けば、不動産依存の高い地方ほど打撃を受ける。2010年に住宅購入規制を導入した46都市のうち、すでに約8割が何らかの緩和に動いたとされ、危機感は広がる。

中央政府は大規模な景気刺激はせず、小刻みな政策の微調整で景気を下支えしていく構えをなお崩していない。安易な景気のてこ入れは設備過剰の解消など構造調整を遅らせる恐れがあるためだが、「預金準備率を全面的に引き下げ、投資家心理を好転させるべきだ」(ANZ銀行)との声は強い。中国当局に対し、市場が金融緩和を促す局面が続きそうだ。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]