変動相場制 採用国減る 金融緩和で為替変動大きく 新興国が通貨防衛

為替相場制度の種類別採用内訳のデータが日経新聞に掲載されていましたので、備忘の意味で掲載しておきたいと思います(※1)。

①変動相場制・・・先進国を中心に65ヶ国・34%
②管理変動相場制・・・82ヶ国・43%
③固定相場制・・・25ヶ国・13%

世界の大勢は、為替変動を一定範囲に抑える②の管理変動相場制ということになりますが、当室管理人は、もともと日米欧含めてこの体制(管理変動相場制)を採用するのが好ましいと考えています。

リーマンショックへの世界各国の対応で明らかになりましたように、先進国は足並みをそろえてケインジアンとなり、超金融緩和と赤字財政政策を採用して景気の落ち込みを防止する経済対策を採りました。このことはそれだけ世界経済の相互依存・相互連携性が強くなっていることを示しますが、同時に抜け駆けの通貨安競争を防止するという相互牽制的合意の産物でもあります。

たとえばクロダ日銀がFRBとECBに周回遅れでようやく異次元緩和を行った際にも、ともすれば円安目的で失業の輸出をする積りではないかという冤罪容疑が掛かる気配があったほど各国とも自国の経済的利害に神経質となっているわけで、そうであるならば最初から一定の変動幅を各国が相互に容認し合ってその変動幅の中での為替取引レートを維持するのが合理的で無難ですし、企業も採算の予測が立て易くなって貿易取引も拡大するのではないかという気がします。先進国といえども、無理して投機筋に弄ばれ易い変動相場制を維持する必要性は必ずしもありません。

そして、一定期間を定めて変動幅の見直し改定を行うことで、経済実態の変化に対応するという体制が妥当ではないかと思います。

もっとも、現在のところは何事もなかったかの様に、ドル円相場は当面は、1ドル100円~105円の狭い変動幅の中に収まる気配です。すでに述べた通り、日米賃金単位の比較から見ても、ちょうど居心地の良い水準にあるものと思います。
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(ドル円チャート2年間:SBI証券より引用)


[以下、引用]
◆(※1)変動相場制 採用国減る 金融緩和で為替変動大きく 新興国が通貨防衛
2014/8/19付日本経済新聞 夕刊

世界各国の通貨制度のうち、日米のような変動為替相場制から、中国のように為替変動を一定範囲に抑える管理変動相場に移行する国が増えている。先進国の金融緩和で外国為替相場の変動幅が大きくなり、新興国が通貨防衛に転じているためだ。グルジアなどが管理変動相場に変更し、2013年の採用国は世界全体の43%と、変動相場の採用国数を上回った。

国際通貨基金(IMF)が13年の世界191カ国・地域の通貨制度を調べた。市場の需給で為替レートが決まる変動相場制は日米欧など先進国を中心に65カ国・地域だった。世界での比率は34%にとどまり、直近ピークの09年の79カ国・地域(42%)から減少した。通貨をドルなどに固定する固定相場制は香港など25カ国・地域だった。

変動相場と固定相場の中間にあたる管理変動相場の採用が最も多く82カ国だった。09年の採用国数は世界全体の35%だったが、13年には43%に上昇して変動相場を逆転した。12年にはグルジアやパプアニューギニアなどが、変動相場から管理変動相場に移行した。

管理変動相場の導入が増えているのは、先進国の大規模な金融緩和が影響している。経済規模の小さな国が変動相場を採用すると、緩和マネーの流出入で為替が大きく変動しやすい。IMFは大規模に為替介入してきたアルゼンチンも実質的な管理変動相場制とみる。

新興国や発展途上国の多くはかつて固定相場制を敷いていたが、投機筋の売り浴びせなどで通貨危機を招いた。そのため変動相場に移行した国も多かったが、足元では大幅な為替変動を避けるために管理を強めている。

ただ為替介入に使う外貨準備が不足すれば、固定相場と同様に為替レートを維持できなくなるリスクは残る。「経済規模が大きくなれば相場管理が難しくなる」(JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉氏)ため、ロシアなどは管理変動相場から完全変動相場への移行を検討している。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]