世界の外貨準備、ドル比率最低の60%

世界の外貨準備でドル比率が過去最低の60%となり、その一方で資源国通貨の準備比率が上昇しているという記事が日経新聞にありました(※1)。

貨幣を保有する動機としては、ケインズによれば①取引的動機、②予備的動機、③投機的動機、という3つとされています。また、貨幣の機能としては、(1)価値交換機能、(2)価値尺度機能、(3)価値保蔵機能、という3つとなります。

貨幣というのは、購買力の表象物ですから、たとえ貯め込んだとしましても何時かは使いますので、結局は貨幣の価値というものは、それで何が買えるかという点に最後の最後は帰着します。

米ドルは、米国の工業製品、資源が買える(取引的動機)ほか、米国への投資資金(投機的動機)として使用できますから、新興国などの経済的発展に伴ってその重要性は低下したとはいえ、依然として60%の準備率を確保出来ています。

やはり資源国通貨の準備保有というのは、最後は資源が買えるという担保付の安心感があり、準備保有が増加するのは当然の人情だと思います。

翻って日本円はといいますと、外貨準備保有比率は低迷中です。外貨準備に占める比率でドル、ユーロに次ぐものの、99年の6%から今年3月末には4%に低下しています。日本から買える工業製品、特に資本財の競争力は高いという認識ではありますが、日本には現状では資源的担保がありませんし、人口減少に直面していて投資対象としても見劣りがしてしまいますから、日本円の外貨準備率低迷もやむを得ないところかも知れません。

ただ当室としては、ロボット産業、農産品の工場生産、熱水鉱床の開発、核融合炉その他、実に様々な投資対象が浮上していますので、日本経済の先行きに対して余り悲観はしておりません。


◆(※1)世界の外貨準備、ドル比率最低の60%  資源国通貨に存在感
2014/8/31 1:03日本経済新聞 電子版

世界各国が外貨準備として保有する通貨の多様化を進めている。国際通貨基金(IMF)によると、今年3月末時点の各国・地域の外貨準備のうち、米ドルの比率は60.9%と、1999年のユーロ発足以降で最低水準となった。豪ドルなどの資源国通貨や中国人民元が存在感を増している。外貨準備に採用されると通貨の信認が高まり売買が増える。外国為替相場にも影響を与える可能性がある。

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3月末時点の外貨準備のうち、通貨構成が分かっているのは6兆1755億ドル(約640兆円)このうちドル建ては3兆7632億ドルで、全体に占める比率は60.9%と、前年同月末から約1ポイント低下した。

基軸通貨である米ドルの比率は、2001年6月の約73%をピークに長期低下傾向が続いている。10年に欧州債務危機が生じユーロの信認が揺らいだが、ドル回帰にはつながっていない。円は外貨準備に占める比率でドル、ユーロに次ぐが、99年の6%から今年3月末には4%に低下した。

存在感を増しているのが高金利の資源国通貨だ。3月末時点で1.9%のカナダドルと1.7%の豪ドルの台頭が目立つ。両通貨を合わせると3.6%で、円に匹敵する。日米欧の異例の金融緩和が長引くなか、運用面で有利な高金利通貨へのシフトが進む。

中国、日本、サウジアラビアに次いで世界で4番目に外貨準備が多いスイスは、6月末の外貨準備に占めるカナダドルの比率を4.4%と前年同月末から0.4ポイント引き上げた。

南アフリカも中央銀行が昨年11月に豪ドルなどへ外貨準備を多様化させる方針を表明した。

将来的な国際通貨への成長を見越して、中国人民元を外貨準備に積む動きも広がる。昨年10月には台湾中央銀行がすでに人民元を外貨準備に組み込んだことを明かした。「すでに10カ国・地域超の中央銀行が人民元を外貨準備として活用している」(国際金融筋)

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「今後はひとまずドル離れが一服する」と見る。

新興国の台頭で世界経済に占める米国の存在感は低下しているが、ドル建て取引は世界経済の隅々まで普及している。米国は異例の金融緩和策からの「出口」に着手した。利上げが始まれば、運用面で準備通貨としての魅力低下に歯止めが掛かる。

米国が金融政策の正常化に失敗し金融危機を招けばドルの信認が傷つく懸念は残る。08年の金融危機は外貨準備のドル離れが進む一因となった。米国債の買い手の減少などを通じて米経済を不安定にさせる可能性がある。

▼外貨準備 中央銀行や政府が保有する外貨建て資産を指す。世界で最も多く外貨準備を保有するのは中国で、4兆ドル弱に達する。日本は2番目に多く約1.3兆ドルを保有している。例えば円高を防ぐために「円売り・ドル買い」の為替介入を実施すると外貨準備は増える。通貨急落に直面した国は外貨準備を取り崩して自国通貨を買い支えることがある。海外からの借金の返済に備える役割もある。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]