安倍内閣 「女性輝く」口実にパート主婦の配偶者控除廃止へ

財務省が少しずつ隠密裏に増税に走っていることは間違いのないところです。それが好況実感のなさの根底に存在しています。今回取り上げた記事は、パート主婦の配偶者控除廃止に関するものです。

確かに、当室管理人の勤務先においても、パート職員は年収が103万円あるいは130万円を意識してこれを下回るように勤務するため、年末が近づいて来ますと休みの職員が多くなり、現場の責任者が人員確保に四苦八苦することが常態化しています。これはこれで困ったものではあります。

しかしながら、配偶者控除を廃止してしまうのと、女性の社会進出とは、NWESポストセブンの記事が指摘する通り、関係はありません(※1)。配偶者控除を廃止してしまえば、主婦が働いても年収195万円まで5%の所得税が本人に掛かるようになり、逆に働かずにずっと家に居ても配偶者控除がなくなってご主人の所得税増税、ということとなり、いずれにしても税制的に女性の社会進出を促す政策とは全くなっておりません。完全に理屈のすり替えです。

それでも理屈をつけるのであれば、おそらくはご主人の所得税率の方が、奥さんのパート収入に対する税率5%よりは普通は高いと思われますから、税率の差でパートに出た方がやや有利、という裁定が働き、主婦の労働供給が促進されるというセコい税制政策的意図がなしとは言えません。

厚生年金保険料にしても、専業主婦は保険料を免除されているのではなく、サラリーマンの夫が代わって2人分を払っているというのが事実です。安易な負担増は承認できないところです。

一歩進んで言えば、女性の社会進出という美しい名目でもって、女性という男性よりも低賃金で使える安い労働力を活用するという、いわば産業界の要請に応える「巧妙な産業政策」という見方も可能だと思います。パート、派遣、請負いなど、産業界はあの手この手で生産要素(労働賃金)の低価格化を志向しますので、我々も十分な注意が必要ではあります。


[以下、引用]
◆(※1)安倍内閣 「女性輝く」口実にパート主婦の配偶者控除廃止へ

2014.10.24 07:00 NWESポストセブンより

「女性が輝く社会」を謳う安倍晋三首相だが、いまや女性が「輝く」「活躍」とさえ掲げれば、何でもできると考えている。女性の「ブラックパート量産」、「女性のために」を口実にした大企業へのバラ撒きだけでなく、女性から税金、年金を奪い取ろうとしていることは許し難い。

まず標的になったのはパートの専業主婦だ。政府税調はこの10月からいよいよ財務省の悲願だった「配偶者控除」廃止の議論をスタートさせた。

現行制度では年収103万円までのパート主婦は給料に課税されない。そのため、働く時間を減らして給料が上限を超えないようにするケースが多く、「103万円の壁」と呼ばれる。政府は「壁があるから女性の働く機会を奪っている」という理由で控除を廃止し、パート主婦から税金を取ろうとしている。

しかし、これは社会進出とは逆の政策だ。もし女性にもっと働いてもらうことが目的なら配偶者控除をもっと引き上げて年収200万円から250万円くらいまで非課税にした方が、壁があるから働きたくても勤務時間を減らしていたパート主婦は喜んでフルタイムで勤務するようになるはずだ。元財務官僚の高橋洋一・嘉悦大学教授が指摘する。

「それでも配偶者控除を廃止しようというのは、本当の目的が女性の社会進出ではなく、増税にあるからです」

年金財政がピンチの厚労省もパート主婦からの年金保険料徴収に動いた。現在、夫がサラリーマンで年収130万円(週30時間勤務)未満のパート主婦(第3号被保険者)は年金保険料を徴収されない。

同省はこれを「130万円の壁」と呼び、配偶者控除同様、「社会進出の障害になっている」「フルタイムで働く女性と比べて不公平な制度だ」と批判を煽って段階的廃止を目指している。第一段階として2年後から年収106万円(週20時間勤務)以上のパート主婦は厚生年金に加入して保険料を払わなければならなくなった。

この論理もまやかしだ。第3号被保険者の制度ができた1986年の年金制度改正では、サラリーマンが負担する年金保険料は「その被扶養者たる第3号被保険者が共同で負担したものであることを基本認識とする」(厚生年金保険法)と定められ、全体の保険料が引き上げられた。専業主婦は保険料を免除されているのではなく、サラリーマンの夫が代わって2人分を払っているというのが事実なのだ。

家事と子育てといった専業主婦の「内助の功」の社会的、経済的価値を法的に位置付けた当たり前の認識である。それを廃止・縮小して保険料を払わせるのは、保険料の二重取りである。女性の社会進出とは次元が違う問題だ。
※週刊ポスト2014年10月31日号
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]