日銀資金供給量、最大276兆円 「2年で2倍」達成 物価上昇は道半ば

日銀の資金供給量は276兆円となり、目標とする2013年4月の2倍という数値を達成したようです。

なお、参考までに日経新聞WEB刊に欠落していた紙面データを追記しておきますと、次の様になります。

               2012末     2014.12.25
マネタリーベース    138兆円  →  276兆円
マネーストック      1136兆円 →  1199兆円(11月)
長期金利         0.795%  →  0.330%(26日)
消費者物価分      0.2%下落 → 0.7%上昇

日銀の量的緩和の効果として、それだけで物価上昇を目論むことにはもともと無理があり、あくまでも財・サービスの供給量に対して需要量が増加しないことには、財・サービスの価格としての物価は上昇するはずがありません。

一般的に、金融緩和の効果としては、金利の低下がまずは生じて資金の借入れが容易となり、投資需要が伸びて景気が回復します。投資需要が伸びることで 需要>供給 となることから物価が上昇します。

しかしながら、日米欧とも、現状、金融緩和がとことん為されてしまっていて金利の低下による投資需要の喚起ができない(流動性のワナ)状況下にあり、それ故の苦肉の策として採用されているのが量的緩和という手段です。量的緩和の効果としては、次の事項が考えられます。

①通貨安による輸出需要振興
②資産価格の上昇に伴う実質資産残高効果による消費需要振興
③通貨価値の下落(物価上昇)期待による消費需要振興

量的緩和を採用するくらいであれば、財政出動でテコ入れする方が、よほど物価上昇が期待できますが、GDPと比較して借金過多と思われている日本の現状では、それも思い通りには出来ませんので、やむなく量的緩和という次善の策が採用されているのでしょう。

バーナンキ前FRB議長は、日銀はケチャップでも何でも買え、と発言していたと聞いていますが、要は国債だけでなくて株式でもリートでも資産を買って価格を上げて実質資産残高効果でもって消費需要を伸ばして景気を回復させろということで、現状における日銀のETF購入増加、リート購入増加、そしてGPIF経由の株式・外債購入増加は、有力・有効な景気回復手段であるものと考えます。

前回触れました様に、株式の持合い解消売りが、株価不振の根幹にあるという見解を当室も有していますので、それを政府機関保有でもって補完・挽回を図るという考え方は有効です。

もともとが、日本の資本主義は明治以来の政府主導の生い立ちと歴史を持っていますから、或る程度の官製相場もまた「あり」ということでやむなしと思います。

   
[以下、引用]
◆(※1)日銀資金供給量、最大276兆円 「2年で2倍」達成 物価上昇は道半ば
2014/12/27付日本経済新聞 朝刊

日銀の資金供給量(マネタリーベース)が25日時点で過去最大の276兆円となった。日銀が異次元緩和を導入した昨年4月につくった「2年で2倍にする」との目標を達成した。マネタリーベース拡大のため日銀は大規模な国債購入を実施しており、26日には長期金利が一時0.300%に低下し、過去最低を更新した。

マネタリーベースは、市中に供給した日銀券(現金)、金融機関が日銀に預ける当座預金残高の合計。日銀は異次元緩和の導入を受け、マネタリーベースを金融政策の操作目標にした。今年10月末には追加緩和に踏み切り、マネタリーベースを年80兆円ペースで増やす方針も示している。

マネタリーベースの拡大は日銀による国債の購入代金が金融機関の当座預金に積み上がったことを意味するだけで、実体経済への効果の波及は道半ばだ。企業や家計が保有する通貨の合計を示すマネーストックは資金需要が伸びず、マネタリーベースほどには増えていない。生鮮食品をのぞく消費者物価指数は、消費税の影響を差し引いたベースで11月には0.7%上昇にとどまった。日銀が目指す2%の達成への道筋は不透明だ。
[以上 引用/マクロ経済動向と資産運用形成研究室]